採用活動で受け取った履歴書は、いつまで保管すればよいのでしょうか。
「採用した社員の履歴書は何年間保存する必要がある?」「不採用者の履歴書は返却しなければならない?」と迷う人事担当者も少なくないでしょう。
履歴書の取扱いは、採用した場合と不採用だった場合で分けて考える必要があります。
採用者については、雇用管理に必要な書類としての取扱いや、関連する法定帳簿の保存義務を確認することが重要です。一方、不採用者の履歴書には、一律の法定保存期間が定められているわけではありません。利用目的や保管の必要性に応じた適切な管理が求められます。
また、履歴書には氏名・住所・学歴・職歴などの個人情報が含まれるため、保管期間だけでなく、閲覧権限や廃棄方法にも注意が必要です。
この記事では、採用・不採用別の履歴書の保管ルール、返却・廃棄の考え方、個人情報管理の注意点を整理します。記事後半には、人事担当者が実務で使えるチェックリストも用意しています。

【この記事で分かること】
- 採用者の履歴書と関連書類の保管期間
- 不採用者の履歴書の返却・廃棄ルール
- 履歴書を安全に管理するための注意点
- 人事担当者向けの保管・廃棄チェックリスト
【履歴書の保管期間は何年?採用・不採用別の結論】
履歴書の保管期間を考える際は、まず採用した人の履歴書なのか、不採用になった人の履歴書なのかを区別する必要があります。
結論として、不採用者の履歴書には一律の法定保存期間がありません。一方、採用者の履歴書についても、すべての企業に共通する「履歴書は必ず○年間保存する」という単純なルールで判断するのは適切ではありません。
採用者の場合は、履歴書の保管目的に加え、労働基準法に基づく労働関係書類の保存義務との関係を確認する必要があります。
次の表で、基本的な考え方を整理します。
| 区分 | 保管期間の考え方 | 実務上の対応 |
|---|---|---|
| 採用者の履歴書 | 原則5年 (当分の間3年)雇入れに関する重要書類として保存対象 |
法定の起算点を確認し、関連書類と合わせて管理する |
| 不採用者の履歴書 | 一律の法定保存期間なし | 選考終了後、必要性を確認し、返却・適切な廃棄等を行う |
| 労働者名簿・賃金台帳 | 原則5年 (当分の間3年) |
履歴書とは別に、法令に従って作成・保存する |
※「5年(当分の間3年)」は労働基準法第109条および経過措置に基づくものです。保存期間の起算点は書類ごとに確認してください。
採用者の履歴書は労働関係書類に含まれる
厚生労働省の資料では、労働基準法第109条の保存対象となる「雇入れに関する書類」の例として、履歴書が挙げられています。
そのため、採用者の履歴書は、単に採用選考が終了したからといって直ちに廃棄してよい書類ではありません。法令に基づく保存期間と起算点を確認する必要があります。
一方、不採用者の履歴書には、採用者と同じ法定保存期間が一律に適用されるわけではありません。
個人情報保護の観点から、利用目的や保管の必要性を確認し、不要となった個人データは適切に消去するよう努めることが重要です。
採用者・不採用者それぞれの具体的な取扱いについて、次の章から詳しく解説します。
【採用した人の履歴書・関連書類の保管ルール】
採用した従業員の履歴書は、入社手続きが完了した後も適切に保管する必要があります。
労働基準法第109条では、労働者名簿や賃金台帳、雇入れに関する重要な書類などについて、原則5年間の保存を定めています。ただし、経過措置により、当分の間は3年間とされています。
ここで注意したいのが、すべての書類を入社日から3年間保存すればよいわけではないという点です。
書類の種類によって保存期間の起算点が異なるため、履歴書だけでなく、労働者名簿や賃金台帳なども区別して管理することが重要です。
書類ごとに保存期間の起算点を確認する
履歴書を含む雇入れに関する書類は、労働関係の終了など、法令で定められた起算点を踏まえて保存期間を管理します。
一方、労働者名簿や賃金台帳には、それぞれ異なる保存期間の起算点が設けられています。
「入社から何年経過したか」だけで廃棄を判断しないことが、適切な書類管理の基本です。
次の図解では、採用した従業員に関する主な書類と、その保存期間の目安を整理しています。

紙の履歴書と電子データはどう管理する?
履歴書は、紙で受け取る場合もあれば、メールや採用管理システムを通じて電子データで受け取る場合もあります。
いずれの場合も重要なのは、必要な期間にわたって適切に保存し、権限のない人が閲覧・利用できないようにすることです。
紙の履歴書であれば、施錠できる保管場所を設け、閲覧できる担当者を限定する方法が考えられます。
電子データの場合は、アクセス権限の設定、共有先の管理、誤送信の防止などが必要です。保存先を採用担当者個人のパソコンやメールボックスだけに依存しない運用も大切です。
退職後も保存が必要な書類がある
従業員が退職したからといって、履歴書や関連書類をすぐに廃棄できるとは限りません。
雇入れに関する書類などは、法令で定められた保存期間が満了するまで保管する必要があります。
また、法定保存期間とは別に、紛争対応などのために保存の必要性が残る場合もあります。その際は、利用目的や保存の必要性を確認し、漫然と保管を続けないことが重要です。
採用時・在職中・退職後の各段階で、誰が何を管理するのかを明確にしておくことが、書類の紛失や誤廃棄を防ぐポイントです。
【不採用者の履歴書は返却・廃棄・保管のどれが適切?】
不採用となった応募者の履歴書は、いつまで保管し、どのように処理すればよいのでしょうか。
結論からいうと、不採用者の履歴書について、一律に何年間保存しなければならないという法定期間はありません。
また、個人情報保護法によって、すべての不採用者に履歴書を返却することが義務付けられているわけでもありません。
ただし、返却義務がないからといって、履歴書を無期限に保管してよいという意味ではありません。
企業は、採用選考時に示した利用目的や保管の必要性を踏まえ、返却・廃棄・継続保管のいずれが適切かを判断する必要があります。
不採用者の履歴書を返却する場合
履歴書を返却する運用を採用している企業では、選考終了後、応募者に書類を返送します。
返却する際は、宛先の確認や封入書類の取り違え防止など、個人情報の漏えいを防ぐ対応が必要です。
また、求人票や応募受付時の案内で返却すると説明している場合は、その案内に沿って対応することが重要です。
不採用者の履歴書を廃棄する場合
選考終了後に履歴書を保管する必要がなくなった場合は、適切な方法で廃棄します。
紙の履歴書はシュレッダー処理や機密文書の溶解処理などを利用し、個人情報を容易に復元できない状態にすることが重要です。
電子データについても、採用管理システムだけでなく、メールの添付ファイルや共有フォルダなどに不要なコピーが残っていないか確認しましょう。
「選考が終わったら削除する」という方針だけでなく、誰が、いつ、どの範囲のデータを削除するのかまで決めておくことが実務上のポイントです。
不採用者の履歴書を継続保管する場合
将来の採用候補者として再度連絡するなど、選考終了後も履歴書を利用したい場合があります。
その際は、当初通知・公表した利用目的の範囲内かを確認し、必要に応じて本人への説明や同意取得など、適切な対応を検討します。
継続保管する場合も、保存期間やアクセス権限を明確にし、必要性がなくなった情報を漫然と残さないことが重要です。
なお、応募者の情報を将来の採用活動に利用する場合は、利用目的の特定・通知等のルールを守る必要があり、保管するだけなら自由というわけではありません。

自社の取扱いルールを応募者に明示する
なお、ハローワークでは、個人情報保護の観点から、不採用者の応募書類を選考終了後速やかに返却することを推奨しています。返却できない場合は、あらかじめ応募者に返却しない旨や廃棄方法を説明し、個人情報が漏えいしない方法で適切に処分することが重要です。
不採用者の履歴書の取扱いで大切なのは、企業内で対応を統一することです。
例えば、求人票や応募受付時の案内に、応募書類を返却するのか、選考終了後に適切に廃棄するのかなどを明示しておけば、応募者との認識のずれを減らせます。
担当者ごとに対応が異なる状態を避け、採用活動全体で一貫したルールを運用しましょう。
【履歴書の個人情報管理で注意したい5つのポイント】
履歴書の管理で重要なのは、「施錠する」「閲覧者を限定する」といった基本的な対策だけではありません。
実際の採用業務では、複数の担当者が履歴書を確認し、面接官に共有し、採用結果に応じて保存・廃棄するという一連の作業が発生します。
そのため、担当者が変わっても同じルールで管理できる仕組みを整えることが重要です。
ここでは、中小企業でも導入しやすい具体的な管理方法を5つ紹介します。
① 保管場所は会社が管理できる環境に集約する
履歴書の電子データは、採用担当者個人のパソコンやメールボックスではなく、会社が管理する保存先に集約しましょう。
例えば、社内ファイルサーバーや、Google Workspaceの共有ドライブ、採用管理システムなどが候補になります。
Google Workspaceを利用する場合は、共有ドライブのメンバーを限定し、外部共有を制限する設定が考えられます。個人用Googleアカウントへの保存は避け、会社の管理下で運用することが重要です。
自社サーバーを利用する場合は、アクセス制御に加え、セキュリティ更新やバックアップ、障害時の復旧体制まで整備しましょう。
② 閲覧権限は役職と採用業務上の役割で分ける
履歴書を閲覧できる人を、役職だけで一律に決める必要はありません。
例えば、人事責任者には管理権限、採用担当者には編集権限、面接官には担当候補者の閲覧権限を付与する方法が考えられます。
重要なのは、業務に必要な情報だけを、必要な期間だけ閲覧できる状態にすることです。
面接官が全応募者の履歴書を閲覧できる設定になっていないか、採用業務から外れた社員の権限が残っていないかも確認しましょう。
③ データ共有は個人任せにせず、ルール化する
面接官への履歴書共有を、毎回メール添付で行っている企業もあるでしょう。
しかし、メール添付は送信先の間違いや、不要なコピーの残存につながるおそれがあります。
可能であれば、会社が管理する共有フォルダや採用管理システム上で閲覧する運用に切り替えましょう。
また、異動・退職時にはアクセス権限を速やかに見直し、共有先を定期的に点検する仕組みを設けます。
④ 保存期限は年度ごとの棚卸しと通知で管理する
履歴書の保存期限を担当者の記憶だけに頼ると、必要な書類の誤廃棄や、不要な個人情報の長期保管につながります。
そこで、保存対象ごとに「採用・不採用の区分」「保存期間の起算日」「保存期限」「管理責任者」を記録する台帳を作成します。
例えば、毎年4月を履歴書管理の点検月とし、保存期限が到来した書類を確認する運用が考えられます。
採用管理システムに期限通知機能がある場合は活用し、機能がない場合でも、社内カレンダーや管理台帳で確認予定日を通知できます。
ただし、通知が届いた時点で自動的に削除するのではなく、法定保存期間や継続保管の必要性を確認してから廃棄を判断しましょう。
⑤ 廃棄は原本だけでなく複製データまで管理する
履歴書を廃棄する際は、紙の原本や共有フォルダ内のファイルだけでなく、メール添付、ダウンロード済みファイル、複製データの有無も確認します。
紙の履歴書は機密文書として処理し、電子データは利用するシステムの削除手順に従って対応します。
バックアップについても、保存・削除の仕組みや保持期間を把握し、不要な情報が無期限に残らないよう管理することが重要です。
さらに、廃棄日・対象・実施者・確認者を記録することで、担当者が変わっても処理状況を追跡しやすくなります。
このように、履歴書の管理は個々の担当者の注意力に頼るのではなく、保存から廃棄までを一つの業務フローとして整備することが重要です。
【履歴書の保管・返却・廃棄チェックリスト】
ここまで紹介した履歴書の保管期間や管理方法について、自社で適切に運用できているか確認してみましょう。
次のチェックリストでは、保存期間・保管場所・閲覧権限・応募者への案内・廃棄手順の5分野を点検できます。
すでに対応できている項目にチェックを入れてください。未対応の項目は、今後の改善課題として整理できます。

履歴書管理 実務チェックリスト
自社の管理状況を確認
対応済みの項目にチェックを入れてください。
各項目を確認しましょう。
01 保存期間・期限管理
02 保管場所・データ管理
03 閲覧権限・情報共有
04 応募者への案内
05 廃棄・削除の運用
なお、このチェックリストは社内管理体制を見直すための実務用ツールです。すべてにチェックが付いた場合でも、個人情報保護法などへの適合を保証するものではありません。
【履歴書の保管期間・返却・廃棄に関するよくある質問】
Q1. 採用した人の履歴書は何年間保管する必要がありますか?
採用した従業員の履歴書は、雇入れに関する重要な書類として、原則5年間の保存義務があります。ただし、現在は経過措置により3年間とされています。
なお、履歴書など雇入れに関する書類の保存期間は、原則として従業員の退職または死亡の日を起算点として考えます。採用日から3年間保存すればよいという意味ではありません。
Q2. 不採用者の履歴書は何年間保管すればよいですか?
不採用者の履歴書について、すべての企業に一律に適用される法定保存期間はありません。
選考終了後も保管する必要がある場合は、その利用目的や必要性を確認し、社内で適切な保存期間を定めましょう。
不要になった個人データについては、遅滞なく消去するよう努めることが個人情報保護法で求められています。
Q3. 不採用者から履歴書の返却を求められた場合、必ず返却しなければなりませんか?
個人情報保護法には、不採用者から求められた履歴書の原本を、すべての場合に返却しなければならないという一律の規定はありません。
ただし、求人票や応募時の案内で返却を約束していた場合は、その案内に沿って対応することが重要です。
また、原本の返却と、個人情報保護法に基づく保有個人データの開示・利用停止・消去などの請求は別の問題です。応募者から請求があった場合は、内容を確認して適切に対応する必要があります。
Q4. 履歴書をスキャンして電子保存すれば、紙の原本は廃棄できますか?
履歴書について、すべての企業に紙の原本保存を一律に義務付けるルールがあるわけではありません。
ただし、電子化する場合は、記録内容を必要な期間確認できることや、改ざん・紛失・不正アクセスを防ぐ管理体制が重要です。
また、他の法令や社内規程、個別の契約などによって原本の取扱いが問題になる場合もあるため、電子化したことだけを理由に一律に廃棄するのではなく、保存要件を確認して判断しましょう。
Q5. Google Driveに履歴書を保存しても問題ありませんか?
Google Driveなどのクラウドサービスを利用すること自体が、一律に禁止されているわけではありません。
ただし、個人アカウントではなく会社が管理する環境を使用し、閲覧権限や外部共有の設定を適切に管理することが重要です。
採用担当者だけでなく、面接官や管理職にもアクセス権限を付与する場合は、担当業務に必要な範囲に限定しましょう。
Q6. 履歴書の保存期限が過ぎたら、すぐに廃棄してよいですか?
法定保存期間が終了した書類でも、直ちにすべて廃棄してよいとは限りません。
紛争への対応など、継続保管が必要な事情がないかを確認したうえで、廃棄を判断します。
一方で、保存する必要がなくなった個人データを、理由なく長期間保管し続けることも避けるべきです。
保存期限の到来を通知し、管理責任者が確認したうえで廃棄する仕組みを設けると、誤廃棄と不要な長期保管の両方を防ぎやすくなります。
【まとめ|履歴書の保管は「期間」と「管理方法」の両方が重要】
履歴書の保管では、採用者と不採用者で取扱いが異なることを理解し、それぞれに適切なルールを設ける必要があります。
採用した従業員の履歴書には法定の保存期間がありますが、不採用者の履歴書には一律の法定保存期間がありません。
また、保存期間を守っていても、閲覧権限が適切に設定されていなかったり、不要な電子データが残っていたりすれば、個人情報管理上の問題につながるおそれがあります。
特に見直したいのは、次の3点です。
- 保存期間:採用・不採用の区分と、保存期限の管理方法が明確になっているか
- 情報管理:保管場所や閲覧権限が適切に設定されているか
- 廃棄手順:紙・電子データの両方について、廃棄の判断と実施方法が決まっているか
まずは本記事のチェックリストを使い、自社の運用状況を確認してみてください。
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