退職理由ランキング2025|男女差と離職防止策

「社員が辞める理由で最も多いのは、給与への不満なのか。それとも人間関係なのか」

離職防止策を考える際、退職理由のランキングは参考になります。しかし、一般的なランキングをそのまま自社に当てはめても、適切な対策につながるとは限りません。

厚生労働省が2026年8月に公表した「令和7年雇用動向調査」によると、2025年に転職した人が前職を辞めた理由には、男女や年代によって違いが見られます。

本記事では、公的統計に基づいて退職理由を比較するとともに、数字の読み方や、中小企業が離職防止に取り組む際の考え方を解説します。

【この記事で分かること】

  • 2025年の退職理由ランキングと男女別の違い
  • 年代によって異なる退職理由の傾向
  • 給与・労働条件・人間関係などの背景を調べる方法
  • 中小企業が優先して取り組むべき離職防止策
  • 自社の離職原因を整理するためのチェックポイント

2025年の退職理由ランキング|厚生労働省の最新統計

厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」では、2025年の転職入職者について、前職を辞めた理由を調査しています。

まず注意したいのは、この調査が中小企業だけを対象としたランキングではないという点です。全国の事業所を対象とする統計であり、以下では転職入職者のうち、前職が雇用者で、調査時点に在籍していた人の回答を使用します。

また、調査には「定年・契約期間の満了」「会社都合」「その他の個人的理由」なども含まれます。

本記事では、企業が職場環境や人事制度の改善を考える際に参考となる6項目を抜粋し、男女別に比較します。全退職理由を対象とした順位ではなく、6項目内の比較です。

男性・女性で異なる退職理由

男性では「給料等収入が少なかった」が9.9%、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.9%と、今回比較する6項目の中でそれぞれ最も高い割合となっています。

また、女性の「職場の人間関係が好ましくなかった」は11.5%で、男性の8.9%を上回っています。

以下の表で、6項目の割合と男女差を確認してみましょう。

2025年 退職理由ランキング

職場改善に関連する6項目を抜粋し、 男女それぞれ割合の高い順に掲載しています。

男性

1 給料等収入が少なかった 9.9%
2 職場の人間関係が好ましくなかった 8.9%
3 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 8.5%
4 会社の将来が不安だった 6.9%
5 仕事の内容に興味を持てなかった 5.2%
5 能力・個性・資格を生かせなかった 5.2%

女性

1 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 12.9%
2 職場の人間関係が好ましくなかった 11.5%
3 給料等収入が少なかった 8.6%
4 仕事の内容に興味を持てなかった 4.6%
5 会社の将来が不安だった 4.3%
6 能力・個性・資格を生かせなかった 3.9%

出典: 厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」 表5(2025年実績、2026年8月公表)。 転職入職者のうち前職が雇用者で、 調査時点に在籍していた人を対象とした割合。 6項目を抜粋して順位を再構成しています。 棒の長さは13%を基準に表示しています。

ランキングから読み取れる3つのポイント

1.給与への不満は、男性で比較的高い

男性の「給料等収入が少なかった」は9.9%で、比較した6項目の中では最多です。

給与への不満を改善するには、評価制度の透明性だけでなく、実際の賃金水準、昇給の仕組み、同業他社との待遇差も確認する必要があります。

2.女性では労働条件と人間関係が上位

女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.9%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.5%でした。

ただし、この結果だけで女性全般の価値観を決めつけることはできません。雇用形態や年代、仕事内容などの違いも踏まえて考える必要があります。

3.ランキングの上位項目が、自社の最大の課題とは限らない

全国調査で給与への不満が多くても、自社では上司との関係や業務負荷が主な離職要因になっている可能性があります。

大切なのは、統計を参考にしながら、自社の退職者の傾向や面談記録と照らし合わせることです。

次章では、社員の年代や置かれた状況によって退職理由の背景がどう異なるのか、企業が確認すべきポイントを整理します。


年代別に見る退職理由の違い

同じ退職理由でも、社員の年代や置かれている状況によって、その背景は異なります。

例えば「給与が低い」という不満でも、若手社員であれば今後の昇給への期待、中堅社員であれば担当業務や責任に見合った処遇、ベテラン社員であれば役割の変化に伴う待遇への納得感など、確認すべき点は一様ではありません。

ただし、こうした違いはあくまで企業が原因を調べる際の視点です。特定の年代が必ず同じ理由で退職するわけではありません。

20代|入社前の期待と入社後の現実を確認する

20代の社員が退職する場合、まず確認したいのは、採用時に説明した仕事内容や働き方と、実際の配属・業務内容に違いがなかったかという点です。

仕事内容への適性だけでなく、教育担当者の支援、相談できる環境、成長の見通しなども確認する必要があります。

企業側では、入社後の定期面談を実施し、本人が何に困っているのかを早期に把握することが重要です。

30代|役割・処遇・働き方のバランスを確認する

30代では、担当業務の拡大や管理職への登用などによって、仕事上の責任が変化する場合があります。

その一方で、昇給や評価が役割の変化に見合っていなければ、不満につながる可能性があります。

また、家庭の事情や生活環境の変化によって、勤務時間や休日に求める条件が変わることもあります。

この年代の退職理由を調べる際は、給与だけでなく、役割分担、業務量、評価基準、働き方を合わせて確認します。

40代|キャリアの見通しと業務負担を確認する

40代の社員については、現在の役割だけでなく、今後どのような働き方やキャリアを望んでいるかを確認することが重要です。

管理職としての負担が大きくなっている場合もあれば、専門職として能力を発揮する機会が不足している場合もあります。

企業側が昇進だけを成長の選択肢と考えていると、本人の希望と合わないことがあります。

管理職と専門職の役割を整理し、評価や処遇との関係を明確にすることが検討事項となります。

50代以降|役割の変化と雇用条件を確認する

50代以降では、役職定年、定年後の再雇用、契約期間の満了など、制度上の要因も退職に関係します。

これらを給与や人間関係への不満による退職と同じように扱うと、離職原因を正しく把握できません。

特に、本人の希望による転職と、定年・契約満了による離職は分けて集計することが重要です。

企業側では、役割変更時の説明、処遇の決定基準、再雇用後の仕事内容などを明確にしておく必要があります。

年代別の違いを離職防止策にどう活かすか

年代ごとに施策を分ける際は、年齢だけで判断するのではなく、本人の仕事内容、役割、勤続年数、雇用形態などを合わせて確認することが大切です。

例えば、同じ30代でも、入社1年目の社員と勤続10年の管理職では、抱えている課題が異なる可能性があります。

中小企業では、退職者の人数が少ないため、年代別の割合だけを見ると、少数の退職によって結果が大きく変動することもあります。

そのため、退職者数と退職理由を記録したうえで、可能であれば複数年の傾向を確認することをおすすめします。

また、退職時の面談だけでなく、在籍社員への定期面談や業務負荷の確認も組み合わせることで、退職が発生する前に課題を把握しやすくなります。

次章では、給与・人間関係・労働条件といった退職理由の背景を、企業がどのように調べればよいのかを具体的に解説します。


退職理由の背景にある組織課題

退職理由として挙げられる「給与への不満」「人間関係」「労働条件の悪さ」は、企業が改善を検討するうえで重要な情報です。

ただし、同じ理由で退職した社員でも、不満が生じた背景まで同じとは限りません。

例えば「給与が低い」という理由には、同業他社と比べて実際の賃金水準が低い場合もあれば、昇給基準が分からない、担当する仕事と処遇が釣り合っていないと感じている場合もあります。

退職理由を把握する際は、本人が挙げた理由をそのまま受け止めたうえで、背景にある具体的な問題を確認することが大切です。

給与への不満|金額と評価への納得感を分けて考える

給与への不満を、すべて評価制度の問題として扱うことは適切ではありません。

まずは、基本給や手当を含む賃金水準が、仕事内容や地域の採用市場と比較して妥当かを確認する必要があります。

そのうえで、昇給や賞与の決定基準が社員に伝わっているか、評価結果と処遇の関係を説明できるかを点検します。

例えば、業績に貢献している社員でも、昇給の条件が不明確であれば、将来の処遇を見通しにくくなります。

一方で、評価基準を明確にしても、賃金水準そのものが競争力を欠いていれば、不満は解消しない可能性があります。

賃金水準の問題と、評価・昇給の仕組みの問題を分けて把握することが重要です。

人間関係への不満|個人間の問題と組織運営の問題を区別する

職場の人間関係には、上司との相性、同僚との対立、コミュニケーション不足など、さまざまな問題が含まれます。

その背景には、役割分担の曖昧さや管理職の対応不足がある場合もありますが、すべてを制度設計だけで解決できるわけではありません。

特に、ハラスメントや不適切な言動が疑われる場合は、評価制度の見直しよりも、事実確認や被害防止の対応を優先する必要があります。

企業側では、相談窓口の機能、管理職の対応、業務上の指示系統などを確認し、問題の性質に応じて対処します。

労働条件への不満|業務量と働き方の実態を確認する

労働時間や休日への不満がある場合は、まず実際の勤務状況を把握します。

残業時間、休日出勤、有給休暇の取得状況、特定の社員への業務集中などを確認することが出発点です。

そのうえで、人員配置、業務手順、仕事の優先順位、管理職の指示方法などに改善余地がないかを検討します。

業務の効率化だけでは対応できず、増員や受注量の調整が必要になる場合もあります。

働き方への不満を、社員個人の時間管理能力だけの問題にしないことが重要です。

仕事内容や将来への不満|役割とキャリアの見通しを確認する

仕事内容に興味を持てない、能力を生かせない、会社の将来が不安といった理由も、背景を分けて考える必要があります。

仕事内容への不満であれば、採用時の説明と実際の業務に違いがなかったか、本人の希望や適性と配置が合っているかを確認します。

能力を生かせない場合は、担当業務の見直しや、新しい役割に挑戦できる機会が検討対象になります。

会社の将来への不安については、経営方針や事業の見通しが十分に共有されているかを確認することも必要です。

ただし、実際に事業の先行きが厳しい場合は、情報共有だけで不安を解消できるものではありません。

社員が何に不安を感じているのかを具体的に把握し、対応できる課題と、すぐには解決できない課題を区別することが大切です。

退職理由ごとに確認したい組織課題

給与への不満

確認すること

  • 賃金水準と市場相場の差
  • 昇給・賞与の決定基準
  • 仕事内容と処遇のバランス

人間関係への不満

確認すること

  • 上司・同僚との関係
  • 相談窓口と管理職の対応
  • 役割分担・指示系統の明確さ

労働条件への不満

確認すること

  • 残業・休日出勤の実態
  • 業務量と人員配置
  • 休暇取得や勤務調整の状況

仕事内容・将来への不満

確認すること

  • 採用時の説明と実際の業務
  • 能力を発揮できる機会
  • キャリアや事業方針の共有

同じ退職理由でも背景は異なります。 表の項目は原因を断定するものではなく、 自社で事実確認を行う際のチェックポイントです。

退職理由は一つに決めつけない

退職には、複数の事情が重なっている場合があります。

例えば、給与への不満を抱えていた社員が、上司との関係悪化をきっかけに転職を決断することも考えられます。

そのため、退職理由を一つだけ選ばせる集計では、背景を十分に把握できない可能性があります。

退職面談では、本人が話せる範囲で複数の要因を確認し、面談記録や勤務状況などの客観的な情報と照らし合わせることが重要です。

ただし、退職者の説明を企業側の都合で読み替えたり、本人が話したくない事情を無理に聞き出したりすることは避けなければなりません。

退職理由の分析は、社員の発言を否定するためではなく、改善すべき課題を見つけるために行うものです。

次章では、こうした分析結果を踏まえて、中小企業がどの離職防止策から取り組むべきかを整理します。


中小企業が優先すべき離職防止策

社員の離職を防ぐために、給与の引き上げや福利厚生の充実を検討する企業は少なくありません。

しかし、退職理由が人間関係や長時間労働にある場合、給与だけを改善しても問題が残る可能性があります。

一方で、賃金水準そのものが低い企業では、面談や評価制度の見直しだけで不満を解消することも難しいでしょう。

離職防止策は、自社で発生している問題と、改善によって期待できる効果を踏まえて選ぶ必要があります。

1.労働条件や安全に関わる問題を優先する

最初に確認したいのは、長時間労働、休日の不足、ハラスメントなど、社員の健康や安全に関わる問題です。

これらは離職防止以前に、企業として適切な対応が求められる事項です。

例えば、特定の部署で残業が常態化している場合、業務手順の見直しだけでなく、人員配置や受注量の調整が必要になることもあります。

ハラスメントが疑われる場合には、相談内容を適切に取り扱い、事実確認や被害防止の措置を講じる必要があります。

法令違反や健康被害につながるおそれがある問題は、他の改善施策よりも優先して対応します。

2.給与と評価制度の問題を分けて改善する

給与への不満が多い場合は、賃金水準と評価制度の両面から確認します。

賃金水準については、地域や職種の採用市場、仕事内容、社内の賃金バランスなどを踏まえて検討します。

一方、評価制度については、何を評価するのか、昇給や賞与にどのように反映するのかを説明できる状態にすることが重要です。

例えば、評価項目が存在していても、管理職によって判断基準が異なれば、社員は公平性に疑問を感じる可能性があります。

評価基準の整理、評価者間の認識合わせ、評価面談での説明を組み合わせて改善します。

ただし、評価制度を整備すれば必ず離職率が下がるというものではありません。実際の待遇改善が必要な場合は、別途対応する必要があります。

3.管理職の対応を属人化させない

同じ会社でも、部署や上司によって離職状況が大きく異なる場合があります。

その背景には、業務量の違いだけでなく、指示の出し方、相談への対応、評価面談の進め方などが関係している可能性があります。

管理職にすべてを任せるのではなく、会社として最低限の運用ルールを整えることが重要です。

例えば、定期面談の実施時期、確認する項目、相談を受けた際の報告方法などを共通化します。

ただし、面談の回数を増やすだけでは十分ではありません。社員が安心して話せる環境と、把握した課題に対応する仕組みが必要です。

4.入社後の定着支援を見直す

入社後の早い段階で退職が発生している場合は、採用時の説明と入社後の受け入れ体制を確認します。

仕事内容や勤務条件について、入社前の説明と実態に違いがなかったかを点検します。

また、入社後の教育担当者、業務習得の目標、相談先などが明確になっているかも重要です。

特に中小企業では、現場の忙しさによって新人教育が担当者任せになる場合があります。

入社1か月・3か月などの節目で面談を設け、仕事内容への理解、業務負荷、人間関係、困っていることを確認する方法が考えられます。

5.改善結果を数字と現場の声で確認する

離職防止策を実施した後は、施策を導入したこと自体を成果と考えないようにします。

例えば、評価制度を見直したのであれば、評価基準への理解度や面談の実施状況を確認します。

労働環境を改善したのであれば、残業時間や休日取得の状況を確認します。

さらに、退職者数や離職率の推移も把握します。

ただし、社員数が少ない企業では、退職者が1人増減するだけで離職率が大きく変わります。

そのため、単年の離職率だけで判断せず、複数年の推移や社員への聞き取り結果を合わせて確認することが重要です。

離職防止策の優先順位を決める目安

優先度 最優先

安全・健康・法令上の問題

長時間労働、ハラスメント、 法令違反の疑いなど。 必要な事実確認と是正を速やかに行う。

優先度 高

離職が集中している課題

特定部署の退職増加、 入社直後の離職、 処遇への強い不満など。 原因を調べて改善策を決める。

優先度 計画的

中長期の組織づくり

評価制度の整備、 管理職育成、 キャリア形成支援など。 期限と担当者を決めて継続する。

この優先順位は実務上の目安です。 法令対応が必要な問題は先送りせず、 その他の施策は自社の離職状況に応じて判断してください。

離職防止策は「実施したか」ではなく「改善したか」で判断する

離職防止策を進める際は、取り組みの数を増やすことが目的にならないよう注意が必要です。

例えば、面談制度を導入しても、社員が相談した内容に対応できなければ、信頼関係の改善にはつながりにくいでしょう。

評価制度を整備しても、評価結果の説明が不十分であれば、社員の納得感が高まるとは限りません。

重要なのは、何を改善するための施策なのかを明確にし、実施後の変化を確認することです。

まずは自社の離職状況を整理し、対応が必要な課題を絞り込むことから始めましょう。

次章では、自社の離職原因を整理するためのチェックリストを紹介します。


自社の離職原因を整理するチェックリスト

退職理由のランキングを参考にしても、自社で何が起きているのかを把握できなければ、具体的な改善策は決められません。

まずは、退職者の記録、勤務状況、評価・処遇、職場環境などを確認し、課題を整理することが重要です。

以下のチェックリストでは、離職原因を把握するために確認したい15項目を、5つの分野に分けています。

チェックを入れるのは、その項目について記録や事実を確認できた場合です。 問題が解決していることを意味するものではありません。

未確認の項目を明らかにし、次にどの情報を集めるべきかを整理するために活用してください。

離職原因を把握する15項目チェックリスト

確認できた項目にチェックを入れてください。 未確認の項目が、次に調べるべきポイントです。

確認の進捗 0 / 15(0%)

退職状況の把握 0 / 3

給与・評価制度 0 / 3

労働条件・業務負荷 0 / 3

人間関係・管理職対応 0 / 3

採用・育成・キャリア 0 / 3

確認状況のまとめ

まだ確認済みの項目はありません。 まずは退職者数や退職理由など、 手元にある記録から確認しましょう。

※チェック数は離職リスクや制度の良し悪しを判定するものではありません。 情報を確認できているかを整理するためのツールです。 入力内容はこのページから送信されません。

チェック後は、未確認の項目から調べる

チェックリストを使った後は、未確認の項目を一度にすべて調べようとする必要はありません。

まずは、退職が集中している部署や、社員から相談が寄せられている問題など、優先度の高い分野から確認します。

また、確認した結果、問題が見つからなかった項目と、改善が必要だと分かった項目は区別して記録しておきましょう。

例えば、残業時間を確認できたとしても、特定の社員に長時間労働が集中しているのであれば、改善が必要です。

「確認できたこと」と「改善できたこと」を分けて管理することで、離職防止の取り組みを進めやすくなります。

次章では、退職理由や離職防止について、企業の人事担当者からよく寄せられる疑問を整理します。


退職理由・離職防止に関するよくある質問

退職理由で最も多いのは何ですか?

退職理由は、調査対象や集計方法、性別、年代によって異なります。

厚生労働省の2025年雇用動向調査では、「その他の個人的理由」や「定年・契約期間の満了」なども集計されています。

職場改善に関連する6項目を抜粋して比較すると、男性では「給料等収入が少なかった」、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が最も高い割合となっています。

そのため、特定の理由をすべての退職者に共通する第1位として紹介することは適切ではありません。

中小企業ではどのような退職理由が多いですか?

中小企業の退職理由を考える際は、全国統計と自社の実態を区別する必要があります。

全国調査のランキングは参考になりますが、その結果が自社にも当てはまるとは限りません。

例えば、特定の部署で離職が続いている場合は、給与水準だけでなく、業務負荷や管理職の対応などを確認する必要があります。

中小企業では退職者数が少ないこともあるため、単年の割合だけでなく、複数年の退職状況や面談記録を合わせて確認することが重要です。

給与を上げれば社員の離職は減りますか?

給与の改善が離職防止につながる場合はありますが、すべての退職理由を解消できるわけではありません。

実際の賃金水準が低い場合は待遇改善が必要になる一方、人間関係や長時間労働が主な原因であれば、それぞれに対応した改善が必要です。

また、昇給基準や評価結果の説明が不十分な場合は、評価制度や処遇決定の仕組みを見直すことも検討します。

退職面談では本当の理由を聞き出すべきですか?

退職面談では、本人が話せる範囲で退職理由を確認し、今後の職場改善に役立てることが大切です。

ただし、本人が話したくない事情を無理に聞き出したり、回答内容を否定したりすることは避けるべきです。

また、退職理由が複数ある場合も考えられるため、一つの理由に決めつけず、勤務状況などの客観的な情報と合わせて整理します。

離職率が高い場合、何から改善すべきですか?

最初に、長時間労働やハラスメントなど、社員の安全・健康や法令上の問題がないか確認します。

そのうえで、退職が集中している部署、勤続年数、職種などを把握し、改善の優先順位を決めます。

給与、評価制度、業務負荷、管理職の対応など、原因に応じた施策を選び、実施後の変化を確認することが重要です。


まとめ|退職理由ランキングを自社の改善につなげる

2025年の退職理由ランキングを見ると、給与、労働条件、人間関係など、企業が改善を検討すべき課題が見えてきます。

ただし、全国の統計で上位に挙がる理由が、そのまま自社の離職原因になるわけではありません。

離職防止に取り組む際は、次の3つを意識することが重要です。

  1. 統計の対象と集計条件を確認する:男女別・年代別の違いや、定年・契約満了などの扱いを理解する。
  2. 自社の退職理由を具体的に把握する:退職面談、勤務状況、評価・処遇などの情報を組み合わせる。
  3. 課題に応じた施策を実施し、効果を確認する:安全・健康に関わる問題を優先し、その他の施策も計画的に改善する。

退職理由のランキングは、離職防止策を考えるための出発点です。

大切なのは、ランキングの順位を知ることではなく、自社で何が起きているのかを把握し、改善につなげることです。

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著者プロフィール

渡邉宏二|株式会社HRButler 代表取締役

人事評価制度の構築・運用支援および採用代行を専門とする組織人事コンサルタント。 営業担当者から営業責任者、人事担当者から人事責任者までを経験し、現在は経営者として組織運営にも携わる。 現場・管理職・人事・経営のそれぞれの視点を踏まえ、制度を作るだけではなく、実際に運用され成果につながる仕組みづくりを重視している。 中小企業を中心に、人事評価制度、等級制度、給与テーブルの構築・運用支援、採用支援を通じて、持続的な組織成長の実現を支援している。

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