「外国人なら来てくれる」と思っていないか
ある製造業の社長が、少し焦った様子で話していました。
「日本人の応募が全然来ないので、外国人採用を考えています。」
人手不足が続く中で、外国人労働者の雇用を検討する企業は増えています。
建設、運送、介護、飲食、製造などの現場では、すでに外国人労働者が欠かせない存在になっている会社も少なくありません。
しかし、ここで一つ注意が必要です。
外国人労働者は「人手不足を埋めるための労働力」ではありません。
日本人と同じように、働く会社を選んでいます。
給与はいくらか。
職場の人は親切か。
長く働ける環境か。
将来の見通しはあるか。
困ったときに相談できるか。
こうした点を見ながら、自分が働く場所を判断しています。
つまり、企業側が選ぶだけではなく、外国人労働者からも選ばれているのです。
外国人労働者に選ばれない会社の共通点
外国人労働者の採用がうまくいかない会社には、いくつかの共通点があります。
一つ目は、採用後のことを考えていないことです。
求人を出す。
紹介会社に依頼する。
面接をする。
採用する。
ここまでは考えていても、入社後に誰が教えるのか、どのように評価するのか、困ったときに誰が相談に乗るのかが決まっていない会社は少なくありません。
二つ目は、現場任せになっていることです。
会社として採用を決めたにもかかわらず、教育やフォローは現場の責任者に丸投げされている。
その結果、教える人によって説明が違ったり、忙しい時期に十分な指導ができなかったりします。
三つ目は、外国人労働者を特別扱いしすぎる、または放置してしまうことです。
配慮は必要です。
しかし、特別扱いが強すぎると周囲との距離が生まれます。
反対に、
「分からないことがあれば聞いて」
だけで放置してしまうと、本人は聞くタイミングを失います。
大切なのは、職場の一員として受け入れながら、必要な支援を整えることです。
制度・運用・人の3つで受け入れ体制を見る
外国人労働者に選ばれる会社になるためには、制度・運用・人の3つを整理する必要があります。
制度とは、会社としてのルールや仕組みです。
教育マニュアル、評価基準、昇給の考え方、相談窓口などがこれにあたります。
これらが曖昧なままだと、本人は自分が何を期待されているのか分かりません。
運用とは、その制度を現場でどう使っているかです。
マニュアルがあっても使われていない。
評価制度があっても説明されていない。
相談窓口があっても、誰も利用していない。
このような状態では意味がありません。
人とは、実際に関わる上司や先輩社員のことです。
外国人労働者が最初に会社を判断するのは、制度の立派さではありません。
日々接する人の態度です。
挨拶してくれるか。
分からないことを聞きやすいか。
ミスをしたときに頭ごなしに怒られないか。
こうした小さな積み重ねが、会社への信頼につながります。
よくある間違い
① 給与だけで選ばれると思っている
もちろん給与は重要です。
しかし給与だけで選ばれるわけではありません。
同じような給与条件であれば、外国人労働者は働きやすさや安心感を見ます。
特に日本での生活に不安を抱えている人にとって、相談できる環境や職場の雰囲気は大きな判断材料になります。
② 日本語能力だけを重視する
採用時に日本語能力を確認することは必要です。
しかし、日本語が上手であれば定着するとは限りません。
むしろ、社内の説明が曖昧だったり、教える人によって言うことが違ったりすれば、日本語ができる人ほど違和感を持ちます。
問題は本人の語学力だけではなく、会社側の伝える力にもあります。
③ 採用できた時点で安心してしまう
外国人労働者の雇用で本当に重要なのは、採用後です。
入社してから最初の数か月で、本人はこの会社で続けられるかを判断しています。
最初に放置される。
説明が分かりづらい。
相談しても対応してもらえない。
こうした経験が続けば、早期離職につながります。
選ばれる会社は「安心して働ける理由」を伝えている
外国人労働者に選ばれる会社は、求人票や面接で良いことだけを言っているわけではありません。
むしろ、働く上で必要な情報を正直に伝えています。
仕事内容。
勤務時間。
残業の有無。
評価の基準。
昇給の考え方。
生活面でのサポート。
困ったときの相談先。
こうした情報が具体的に伝わるほど、応募者は安心します。
「うちは大丈夫です」
ではなく、
「こういう仕組みで支援しています」
と説明できることが重要です。
外国人労働者にとって、知らない国で働くことは大きな決断です。
だからこそ、会社側には安心材料を見える形にする努力が求められます。
まとめ
外国人労働者に選ばれる会社になるために必要なのは、特別な制度を大量に作ることではありません。
まずは、入社後に安心して働ける環境を整えることです。
何を期待しているのか。
どう教えるのか。
どう評価するのか。
困ったときに誰が支えるのか。
これらを会社として整理できているかどうかが、採用と定着を大きく左右します。
外国人労働者の採用は、人手不足を一時的に埋める手段ではなく、組織づくりそのものです。
選ばれる会社になるためには、採用前から受け入れ体制を整えておくことが欠かせません。
外国人労働者の採用や受け入れ体制、評価制度の整備でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。