評価制度の構築を依頼するタイミングとは?

「そろそろ評価制度が必要かもしれない」

ある建設会社の社長が、現場責任者との会話の中で違和感を覚えました。

若手社員がこう言ったそうです。

「結局、何を頑張れば評価されるんですか?」

その会社には評価制度がありませんでした。

昇給や賞与は社長が決める。

長年それで問題は起きていませんでした。

しかし社員数が増え始めた頃から、少しずつ不満の声が出るようになってきたのです。

「頑張っても評価されない。」

「何が基準なのか分からない。」

「人によって扱いが違う気がする。」

社長は決して不公平な評価をしていたわけではありません。

むしろ一人ひとりをよく見ていました。

それでも社員には伝わっていなかったのです。

実は、評価制度の構築を依頼する企業の多くは、このような違和感から相談に来られます。

評価制度は問題が起きてから作るものではない

評価制度の相談を受けると、

「社員数が何人になったら必要ですか?」

という質問をいただくことがあります。

しかし本当に重要なのは人数ではありません。

社員数が10名でも必要な会社はあります。

反対に30名いても大きな問題が起きていない会社もあります。

見るべきなのは組織の状態です。

評価制度が必要になるのは、

社長一人で全員を把握することが難しくなった時です。

社員が増える。

拠点が増える。

管理職が増える。

すると評価基準が属人的になりやすくなります。

この段階で制度がないと、不公平感や不信感が生まれやすくなります。

制度・運用・人の限界が見え始めた時がサイン

評価制度の構築を検討すべきタイミングは、制度・運用・人のどこかに限界が見え始めた時です。

制度面では、

昇給や賞与の基準が曖昧になっている。

社員へ説明できない。

こうした状態が続くと納得感が低下します。

運用面では、

管理職によって評価基準が違う。

部署ごとに育成方針が違う。

同じ成果でも評価が変わる。

といった問題が発生します。

人の面では、

社員から不満が出始める。

優秀な社員が辞める。

管理職が部下育成に悩む。

こうした兆候が見え始めます。

よくある間違い① 離職が増えてから動く

評価制度の相談で多いのが、

「優秀な社員が辞めてしまったので評価制度を作りたい。」

というケースです。

もちろん遅すぎるわけではありません。

しかし本来は離職が起きる前に取り組みたいところです。

退職は結果です。

その前には必ず不満や違和感があります。

そのサインを見逃さないことが重要です。

よくある間違い② 社員数50人までは不要だと思う

中小企業では、

「まだ人数が少ないから大丈夫。」

という考え方もあります。

しかし実際には10名~20名規模で相談を受けることも珍しくありません。

むしろこの時期は組織文化が作られる重要なタイミングです。

後から修正するよりも、早い段階で方向性を整えた方が負担は小さくなります。

よくある間違い③ 他社の制度をそのまま導入する

評価制度を検討し始めると、

「他社の制度を真似すれば良いのでは。」

と考える企業もあります。

しかし組織文化も事業内容も違います。

営業会社の制度。

建設会社の制度。

介護事業所の制度。

求める行動は大きく異なります。

だからこそ評価制度は自社向けに設計する必要があります。

依頼するベストなタイミングは「まだ問題が小さい時」

実は評価制度構築で最も良いタイミングは、

大きな問題が起きる前です。

離職率が急増してから。

管理職が機能しなくなってから。

社員同士が対立してから。

ではなく、

「最近少し気になるな」

という段階です。

なぜなら制度は作って終わりではないからです。

説明。

運用。

定着。

管理職教育。

こうした準備にも時間が必要になります。

評価制度は給与を決める仕組みではない

評価制度というと、

昇給や賞与を決める仕組みだと思われがちです。

もちろんそれも重要です。

しかし本質は違います。

会社が何を期待しているのか。

何を大切にしているのか。

どのような社員に成長してほしいのか。

それを伝える仕組みです。

だからこそ評価制度は人事制度ではなく、組織づくりの仕組みでもあります。

まとめ

評価制度の構築を依頼するタイミングは、社員数ではなく組織の状態で判断するべきです。

社員から評価への疑問が出始めた時。

管理職によって評価が変わり始めた時。

離職や不満の兆候が見え始めた時。

それが見直しのサインです。

問題が大きくなってから対応するよりも、小さな違和感の段階で整備した方が、組織への負担も少なく済みます。

評価制度は社員を管理するための仕組みではありません。

会社の方向性を共有し、組織を成長させるための仕組みなのです。

評価制度の構築や見直しを検討されている方は、お気軽にご相談ください。

著者プロフィール

渡邉宏二|株式会社HRButler 代表取締役

人事評価制度の構築・運用支援および採用代行を専門とする組織人事コンサルタント。 営業担当者から営業責任者、人事担当者から人事責任者までを経験し、現在は経営者として組織運営にも携わる。 現場・管理職・人事・経営のそれぞれの視点を踏まえ、制度を作るだけではなく、実際に運用され成果につながる仕組みづくりを重視している。 中小企業を中心に、人事評価制度、等級制度、給与テーブルの構築・運用支援、採用支援を通じて、持続的な組織成長の実現を支援している。

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